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片隅抄

2019.10.19

百年に一度といわれる大津波に備えて、東日本大震災後、いわきの海岸線には高く強固なコンクリートの長い壁ができた▼「海と走れ。」とサンシャインマラソンの惹句にあるが、実はコースの中で海が見える区間はごくわずかしかない。美しい景観を犠牲にしてまで堤防を整備することしか、津波を防ぐ手立てがないということだ▼では、河川の決壊・氾濫はどう防ぐか。地球温暖化のせいか、日本を襲う台風は年々勢力を増し、進路に当たる地域ではその度に貴い人命や財産、ライフラインが失われる。ただ、不意を突かれる地震と違い、気象予報の発達で台風の襲来時期、進路、勢力がかなり正確にわかるようになった▼今のままでは大型台風が来るたびに悲惨な事態を繰り返してしまう。となれば、河川の決壊・氾濫を中心とした、これまで以上の対策を講じなければならない。〝親水〟――日常の暮らしから、川は無関心・疎遠な存在になっていなかったかと思う。

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