1年のうちで忘れてならない日が幾日かある。3月でいえば東京大空襲に東日本大震災ではないか▼今年は、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスによって追悼行事が中止、規模縮小となった。人が大勢集まる場所は感染リスクが高まるだけに、それも致し方ないことか。市内でも県内初の感染者が確認された▼この状況下での政府や自治体の対応は間違ってはいない。ただ大震災発生から丸9年、東京大空襲に至っては75年がたち遠い記憶と言うより、歴史の中の一つの出来事といった感を強くする。時代は昭和、平成と移り令和へと入った。時代が変わってもあの悲惨な記憶を風化させてはならない▼慰霊祭などの行事が縮小されたからといって、語り継ぐための発信力まで弱めてはいけない。防災教育の強化、反戦の誓いを新たにするためにも、これからも体験者が言葉や行動を通して訴えていくことが大事だ。やめてしまえば記憶の風化は進むだけだ。
片隅抄