今は田村市となった大越町に牧野(まぎの)という小学校があった。昭和29年に建てられた古い木造校舎は珍しい2階建てで、3年前に初めて見たときは既に閉校していて、そこだけ時間が止まっているように感じた▼いくつも時代を越えて令和にその姿を残す木造校舎には人一倍愛着がある。茨城県の大子町には、NHK連続テレビ小説で昭和初めから戦前の小学校のモデルとなった古い校舎が何校も観光地として保存れていて、心ときめいた▼三和町永井地区に「長居小」がある。閉校して新しい三和小に統合された後、残った永井小の校舎が再利用されて昨年11月、長居小になった。静かで自然豊かな山間部の立地を生かして、ほっこりした気分で長居しようとスイーツ&カフェ、食品・ハンドメイドの雑貨、整体の教室が開校した。イベントも開かれる。過疎のまちに、老若男女が集える新しい交流拠点ができたことは喜ばしい▼牧野小の校舎は、惜しまれながら解体された。