ことし68歳、65歳、62歳になるわが3きょうだい。多少<勤続疲労>も見られるが、いずれも健在だ。父90歳、母92歳も病弱ながら、いまだに娘と息子たち、そして孫、ひ孫たちの心配ばかりしている▼生まれたときから両親と一緒に暮らすのは当たり前になっている。たまに親孝行しながら、そしてその何倍も叱られながら62年の歳月を、同じ屋根の下で過ごしてきた▼しかし、同級生や近所の同年代の人を見ると、この年になっても両親に心配してもらいながら生きてこられたのは当たり前ではなく、とても幸せなことだと気づいた。10日の「母の日」に、何を贈って感謝の気持ちを示そうなどと柄にもないことを考えながら▼来月21日は「父の日」だが、約1カ月後、丸太ん棒のような腕が枯れ木のようになってしまった父への贈り物を探すときには、どんなことを思うのだろう。マスクを外せる当たり前の日常が1日も早く戻って来る日を、両親を見守りながら待ちたい。
片隅抄