投票率44・77%。過去最低となった前回に比べ1・89ポイントも下回った▼「相変わらずの低調ぶり」と言いたいところだが、市民にとって今回の市議選は、コロナ禍の中で迎えた初の選挙。候補者の多くが3密を避けるために集会を行わないなど“新しい選挙戦”を模索する中、果たして幾人が投票所に足を運ぶのか、心配だけが募っていただけに、この結果は上出来といえるだろう▼相次ぐ災害とコロナ禍。収入は減り消費は冷え込み、日々の暮らしもままならない。「何とかしてくれ」との悲痛な叫びが、投票率の踏みとどまりにつながったか。安倍首相の辞任劇と総裁選、合流新党の代表選挙が政治への関心の高まりに影響を与えたことも見逃せない▼市議は、市民の代弁者として最も身近な存在だ。意見を吸い上げるだけでなく、光明を見い出せるような提案力も望まれる。おごらず焦らず、当選者に投じた一票の重みを決して忘れず、政治活動にまい進してほしい。
片隅抄