帰宅後、炬燵（こたつ）に入りぐだぐだしているうちに寝入ってしまう。これが冬場の悪癖なのだが、先日も横になったまま朝を迎えた▼すっきりしないままテレビを点けると「写真家土門拳が…」とのナレーションが聞こえてきた。番組はＮＨＫ総合「目撃！にっぽん」。注視するとリアリズムの鬼、土門の代表作『筑豊のこどもたち』がテーマだった▼ 福岡県の炭鉱まちで暮らす子どもらを被写体に約60年前に発表された。表紙は赤色の背景に白抜きのタイトルで人差し指を噛み、何かを見つめる少女るみえちゃん。番組は綿密な取材の結果、るみえちゃんの消息にたどり着いた▼彼女は70歳代半ばであり、娘さんが代わりに心境を伝えてくれたが、昔の自分のつらい体験は語ることはなかったという。情報システムが発達した今では、他人の過去が知ることもできる。市内公共機関の記録公開コーナーが目下、閲覧できない状況。関連するある不都合が生じたと聞く。
