中央台にある市暮らしの伝承郷では、市指定有形文化財(建造物)になっている5軒が移築保存されている▼いずれも江戸時代から明治時代にかけて建てられた立派な茅葺き屋根の古民家で、見上げると重厚な梁が縦横に張り巡らされている。このうち1軒が好間町生まれの詩人猪狩満直の生家であることはよく知られている▼正月休みに娘を連れてこの古民家を訪れた。穏やかな日で、午後ということもあり人けはなかった。スーパーで購入したものではない手作りの凝った正月飾りがかけられていた。娘は、廊下とは違う縁側というものを珍しがった。囲炉裏も土間も竃も知らない。抄子が子どもだった昭和40年代までは当たり前だったが……▼この古民家を会場に、子どもたちとお年寄りの交流の場ということで、宿泊体験はできないだろうかと思った。竃で飯を炊く、囲炉裏で魚を焼く、薪の五右衛門風呂に入るなど。夜はお年寄りから昔話を聞く。いい機会ではないか。