東京電力福島第一原発事故で、いわき市民 が国と東電を相手取った損害賠償訴訟の判決で、地裁いわき支部は国と東電の事故への責任を認めた▼10年前の事故で、多くの市民は家族を守るため、止むなく、古里を離れた。だが、双葉郡と目と鼻の先にありながら、あくまで自主避難。屋内退避区域を除き、補償はわずかばかり。目に見えない放射線への健康リスクへの被害も認められなかった▼原告団長の伊東達也さんは国と東電に対し、「津波という不確かな自然災害に対し、謙虚に向き合う姿勢が不足していた」と訴える。地裁支部は「原発の安全性確保のための命令発令の義務を怠った」と国の違法性を認めた▼長年にわたる伊東さんらの法廷闘争に一筋の光が差した。だが、原発事故に関する一連の訴訟は他の判例から見ても、高裁、最高裁と戦いは続く。一審判決後、原告団は声明を発表した。「引き続き、公正な司法判断を求めて戦い続ける決意である」