南東北大学野球連盟の春季リーグ戦が10日、いわきグリーンスタジアムで開幕した。だが、2年ぶりに球春が到来した球場に盟主の姿はない▼昨秋に続き、2季連続のリーグ優勝が期待された東日本国際大だが、部員42人の新型コロナウイルス感染が判明。市内4例目のクラスターとなった。大学は2度、記者会見を行い、感染対策の不備を陳謝した▼リーグ優勝校は6月開催の全日本大学野球選手権大会の出場権を手にする。今春で大学野球を引退する4年生にとっては最後の全国舞台への挑戦となる。現時点で、19日までの欠場となっているが、このままでは優勝はおろか、今季の参戦は絶望となる▼手元にお蔵入りになった原稿がある。開幕直前、掲載予定だった東日本国際大を紹介する記事だ。「目指すは日本一」。2季連続リーグ優勝と全国舞台での活躍を誓う選手の声が読者に届かない。だが、彼らに罪はない。神宮の杜に立つ夢だけは消さないでほしい。
片隅抄