いわき駅並木通り地区再開発事業に伴い、あわただしく引っ越し作業を済ませ、1週間が経とうとしている。通い慣れた平字田町から目の前を4車線道路が走る小太郎町に移った▼かつては駅を中心にラトブ、銀座通り、ネオン街の田町など生活する上では何かと都合が良かった。業務を行う新オフィスは、これまでと違い明るく余裕の空間が広がる。移転先の周辺は生保、家電、医療施設、同業のマスコミ各支社などが点在する▼記憶からは、かつてこの付近には東西に小さな川が流れていた。ガタガタの石橋の脇に、緑色の小さな公衆トイレがポツンとあった。現在、川の部分は緑地帯に変わり、昭和40年代の面影はない▼オフィスビルが立ち並び、シティ感覚も覚えるが人が集い、憩いを得るエリアが少ない気がする。30年近く慣れ親しんだ田町界隈、旧社屋時代によく通った食べ物屋さんを思い出しながら、最近は雨に洗われた街路樹に目を奪われている。
片隅抄