東日本大震災での苦しい経験を背景に、気象予報士を目指す少女を描いた連続テレビ小説「おかえりモネ」。「いまの自分に何ができるのか」と自問自答しながら精いっぱい現代を生きる姿に、共感する市民も多いのではないか▼劇中、モネこと永浦百音は気象キャスターとして活躍する朝岡覚の言葉を思い出して〝空も海も山も全部つながっている〟と気づき、気象予報士への思いを強くした。みな小学校で水の循環を学ぶが、大人になるとつい目の前の事象にばかり関心が行きがちで、当たり前のことをつい忘れてしまう▼抄子もそのひとり。15年ほど前、アクアマリンふくしまの安部義孝館長に「海を海だけで見ていけない。豊かな山があるからこそ海の多様性があるんだ」と諭され、ハッとした▼気仙沼と登米をいわきの海、阿武隈高地と重ねると、大変興味深い。豊かな雑木林に林業の必要性、そして持続可能な漁業。水の好循環は防災減災の視点からも役に立つ。