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片隅抄

2021.08.07

92歳の父親の手を、66歳の長男はぎゅっと握った▼教師になりたい自分を東京の私立大学に通わせようと4年間、農業の傍ら土木建設会社で働いてコツコツためた貯金から必要なお金を用立ててくれた。父親は長男に家を継いでほしかったが採用枠の関係で千葉県に奉職、そこで家庭をもった▼父親は落胆したが、本人の前では一度もそんな素振りを見せなかった。長男も最後は中学校長になり、父親を喜ばせた。せめてもの親孝行は、盆・暮れに必ず千葉から帰省し、2人の孫と遊ばせることだった▼コロナ禍で昨年来2人は一度も顔を合わせていない。その間、高齢からくる衰弱が進んで、介護施設に入った今では秋を迎えられるかどうかというまでになった。施設側の配慮もあって、PCR検査など感染予防を万全にして10分ほど面会できた。ビニールの手袋越しで手を握る。父親に返す力はなかった。それでも帰り際、父親はか細い声で言った。「体に気をつけろよ」

92歳の父親の手を、66歳の長男はぎゅっと握った▼教師になりたい自分を東京の私立大学に通わせようと4年間、農業の傍ら土木建設会社で働いてコツコツためた貯金から必要なお金を用立ててくれた。父親は長男に家を継いでほしかったが採用枠の関係で千葉県に奉職、そこで家庭をもった▼父親は落胆したが、本人の前では一度もそんな素振りを見せなかった。長男も最後は中学校長になり、父親を喜ばせた。せめてもの親孝行は、盆・暮れに必ず千葉から帰省し、2人の孫と遊ばせることだった▼コロナ禍で昨年来2人は一度も顔を合わせていない。その間、高齢からくる衰弱が進んで、介護施設に入った今では秋を迎えられるかどうかというまでになった。施設側の配慮もあって、PCR検査など感染予防を万全にして10分ほど面会できた。ビニールの手袋越しで手を握る。父親に返す力はなかった。それでも帰り際、父親はか細い声で言った。「体に気をつけろよ」

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