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片隅抄

2011.12.24

こんな話を聞いた。「原発事故があっていわきにモノが入ってこないころ、友達が遠くから車に生活物資を詰め込んで来てくれた。苦しいときに助け合えるのが本当の友情だよ」▼同じころ、わが家では千葉に住む兄が80歳の両親を気遣って避難してくるよう何度も電話してきた。が、両親は不便な思いをしても最後までいわきを離れなかった▼「慣れない土地、勝手のわからない家で息子や嫁の厄介になるより、いわきに居た方がまし」という選択だった。そういえば双葉町から避難して、いわきのアパートで1人住まいをしているお年寄りも、「いわきに息子夫婦がいるんだけどね。一緒に暮らすストレスを考えるなら1人でいた方が気が楽」と話していた▼家族関係や友情は苦しいときに助け合ってこそその真価を発揮するものだが、そう単純なものではないらしい。それでも互いの存在を気にかけ、平時はともかく、何かあったら手を差し伸べられる関係でありたい。

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