「放射性物質への効果をうたえば売れると思った」。福島第1原発の事故発生直後、体内に侵入した放射性物質を排せつする効果があると宣伝し、薬事法違反の疑いで逮捕された男のせりふだ▼ふざけるなと言いたい。地震と津波に加え、放射線汚染に日々、脅え耐える生活を送る地域住民の気持ちを考えない卑劣な犯罪に怒りさえ覚える。その後の調べで男は多額の金をだまし取ったことが分かった。短期間での荒稼ぎ。その裏には、汚染に対する不安がそれだけ強いということだ▼悲しいことだが、震災後、詐欺や悪徳商法が横行していると聞く。被災企業を装い、食品や衣料品などをだまし取る「パクリ屋」から、義援金、リフォーム、家賃の各種詐欺等。よくいろんな手口を考えるものだと、なかばあきれてしまう▼人の弱みや善意につけ込む犯罪は絶対に許せない。この手の犯罪にだまされないためにも、少しでも不審に感じたら、警察などに相談することだ。
片隅抄