南相馬市から千葉県船橋市に避難していた兄弟が公園で遊んでいて、地元の子供たちから「放射能がうつる」といじめられた、という記事がセンセーショナルに報道された▼放射線被害を恐れて物資輸送のトラックが入ってこない。福島県から来たというだけで、あるいはいわきナンバーだとわかって、アパートへの入居や飲食店への入店を断られた。そんな事例が少なくない▼しかし、子供たちの中でもそんな偏見がまん延しているとしたら深刻だ。船橋市の事例は氷山の一角で、問題は「放射能はうつる(感染する)」という誤解を植えつけたのは誰かということだ▼親か、それとも友達か。まさか先生ではあるまい。あえて挙げるとすれば、今回の原発事故による放射線被害がどの場所で、どれだけ人体に影響を与えるのか、国民が納得できる説明をしていない政府化か。専門家たちもそれぞれに安全性、危険性を訴えている。それに振り回されている子供たちが不幸だ。
片隅抄