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片隅抄

2011.05.02

 仏教の考えにおいて「四苦」とは「生・老・病・死」を指す。いずれも、人の意のままにならず、かつ誰の上にも平等にのしかかってくる苦しみである▼この人間共通の苦悩は、各人が思いを整えるなどして、自らの意思の力で克服できるものでもある。しかし、今私たちが被っている「四苦」はそうではない。それはいうまでもなく「地震・津波・原発事故・風評被害」を指す▼ことに原発事故と風評被害は「人災」にほかならないだろう。本来なら昨日5月1日は、ウニ・アワビ漁の解禁日で、いわきを代表する味覚「ウニの貝焼き」づくりが始まる日だった。それが本年は、原発事故により全面中止。津波からの復興を期していた浜の人々の無念さはいかばかりか▼今や福島県は、ヒロシマ、ナガサキのごとく「フクシマ」と称される。震災後の復興に向けて歩み出した他県に比して、まだ先の見えない人々が身近にいる。それは地域にとって5番目の苦しみでもある。

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