ここしばらく悩みの種だった実家外壁の修理が済んだ。築60年のため老朽化が進み先の震災で亀裂が生じ、少しずつ破損箇所が広がった。隣が駐車場のため、万一の際を考えると落ち着かなかった▼手をこまねいていたのではない。2業者に見てもらったが、いずれも壁全部を取り払わないと修理できないという。知識もないこちらは、破損部分だけでもよいのでは、と思ったがそうではなかった▼ある保険屋さんを通じ、紹介された建設業者に見てもらったのが幸いだった。外壁を検分し、「この部分だけで大丈夫です」。こちらは半信半疑で2業者のことを伝えたが「まず、お客さんの注文に応えるのが第一ですよ」とのこと▼先日、市の技能功労者・優良技能者の表彰式が行われた。それぞれが研さんを積んだ技術と利用者からの高評価が該当理由として多かった。職人芸とは無縁だが、共に仕事に向き合う姿勢は共通である。「もの」として活字として残るのだ。
片隅抄