「みちのくというからには、相馬市より南、いわき市勿来の関まで伸ばすべきではないか」。きっかけは、相馬市の立谷秀清市長の鶴の一声だった▼環境省が策定し、青森県八戸市から相馬市に整備した「みちのく潮風トレイル」が、令和元年6月に完成し、宮城県名取市で開かれた式典でのひとコマとなる。ここから官民一体の機運が高まり、相馬郡新地町からいわき市を結ぶ散策ルート「ふくしま浜街道トレイル」が、今夏にも開通する目標が示された▼歩く旅によって、自然や文化に接する「ロングトレイル」は米国発祥だが、日本にも古くからお遍路やお伊勢参りといった歴史がある。単に観光するだけにとどまらず、旅の途中で感じられる空気感は歩く旅ならではだ▼そして一番は、震災・原発事故の被災地である浜通りを踏破することにある。福島のありのままの姿に触れる〝ホープツーリズム〟として、国内外から多くの愛好家が足を運ぶ日が待ち遠しい。