WBC日本代表の勝因はいくつかあるだろうが、選手の役割分担が明確だったのが大きかったように思う▼代表の顔である大谷を前面に置き、ダルビッシュが精神的支柱となった。ヌートバーというジョーカーを配し、吉田、源田、近藤ら頼れる名脇役が安定した光を放った。村上は土壇場で見せ場をつくったし、控えの選手たちも走攻守のスペシャリストぶりを発揮した▼1972年ミュンヘン五輪で金メダルを獲得したバレーボール日本代表を思い出す。森田、大古、横田という3人のスターに〝世界一〟と言われた猫田が黙々とトスを上げ、3人が徹底マークされ敗色濃厚の準決勝を救ったのは峠を越えていた南、中村の両ベテランだった。〝ゲリラ〟木村、〝プリンス〟嶋岡ら個性が光る脇役がいたのもWBCの日本と同じだった▼そして野球の栗山、バレーの松平がチームを同じ勝利のベクトルに向かわせた選手掌握術。スポーツに限らない成功のヒントがそこにあるはずだ。