タイミングを見極めるのは、万事難しい。伝家の宝刀と称される、岸田首相の解散権行使も尻すぼみに終わった。支持率アップに気を良くしたのもつかの間、長男の公私混同問題、マイナカードの不具合、自公のあつれきなどが要因とされ、野党の不信任決議提出を機に狙っていた作戦もついえた▼思えば昭和55(1980)年に大平正芳首相に突き付けられた内閣不信任案はハプニング的に成立、憲政史上初の衆参同日選挙につながった。野党の戦略なき思惑に自民党内の反主流派が相乗りした図式だが、選挙期間中に首相自身も亡くなるという大きな代償を払いながらも、自民圧勝で幕を閉じたのだった▼政界には今もって「一寸先は闇」の言葉が生き続ける。中央政局の変事がいつ地方に波及してくるかとの考えに及んでくる。今秋には県議選があり、現職・新人が出馬を予定するなど、混戦は必至の状況。「その次」を含めて、これからの動静を注視しなければならない。