ボクシングなどの格闘技は好きでテレビを見るが、国技である大相撲にはあまり興味がない。勝負は早いが、立ち合いまでの時間がじれったいと感じるからかもしれない▼ただ、先週終わった九州場所は、翌日が楽しみになるくらい見入った。貴景勝関の活躍を見るためだ。場所前に所属部屋の解散、移籍というハンディを抱えての快進撃。そして初優勝。嬉しいはずなのに、それを前面に押し出したい気持ちを抑え、「これからが大事です」と来場所を見据える姿に共感を覚えた人も多いだろう▼ところが翌日、元師匠・貴乃花の離婚の報道が駆け巡った。「何もこんな時に」と思った人もいよう。優勝の喜びに水を差す。そんな状況に嫌気が差した▼連日、評論家がプライバシーに土足で入り込み言いたい放題。個人の感情は他人にはわからないことだ。まして想像で解説するなど言語道断。「有名税」と言うかもしれないが、この場合、事実のみを伝えるべきだろう。
片隅抄