内田市長が標ぼうする「人づくり日本一」の一環として、市教委は2カ年にわたる学力向上の取り組みをまとめた。いわき市では昨年度から学力向上チームを設置しており、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)などの結果を分析し、市内の公立小・中それぞれの実情に応じた「学校カルテ」を作り、学力向上策を講じている。これらは図示もされており、今後の狙いについて、広く市民に理解を求めていく。
学力向上の取り組みは「未来を拓く『いわきの学び』」と銘打たれ、昨年度からの流れを説明している。昨年度のうち、学校カルテを巡っては、全国学力テストを全体の平均値で判断するのではなく、学校単位で詳細に分析した。学校ごとに状況を〝見える化〟することで、正答数から学力が二極化しているほか、教科間で差があることが判明した。
結果を基に、学力向上チームがそれぞれの小・中学校を訪問した。メンバーのうち、学力向上アドバイザー(退職校長に委嘱)は授業視察も踏まえて、学校経営の観点から校長に助言し、指導主事は各教員に授業改善に関する技術的アドバイスを送った。
本年度はさらに、学力向上チームの体制を強化し、訪問回数を増やしている。また特別支援教育アドバイザーを増員し、支援が必要な子どもたちに向けて、学習環境の改善・指導を図っている。学校カルテも進化しており、全国学力テストに加え、県が独自に実施している「ふくしま学力調査」や、いわき市独自のアンケート(I―SUS=アイサス)のデータも活用している。
単に学力の良しあしにとどまらず、子どもの〝伸び〟の要因や、やる気や粘り強さ、協調性といったテストでは数値化できない「非認知能力」も見定めており、市教委ではこの複合分析を基に、新たな方針を決めていく。
授業をする側の改善も進め、教員研修の見直しや研修動画の作成、授業のユニバーサルデザイン(見えやすい・聞こえやすい配慮)も行っている。取り組みや昨年度の全国学力テストの概要は、市教委のホームページ<こちら>にも掲載されている。
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