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きょう市総合防災訓練 台風教訓の想定 県内初の船舶使った物資輸送も

 市主催の「令和5年度第1回いわき市総合防災訓練(大雨・洪水編)」が8日、市内13地区で一斉に行われた。本年度は2019(令和元)年の東日本台風を踏まえ、「『逃げ遅れゼロ』『災害死ゼロ』を目指して」をテーマに掲げており、市民誰もが参加できる仕組みで、約2200人が取り組んだとされる。訓練では、東日本台風と同じ規模の台風が接近し、大規模な水害・土砂災害が発生した――との想定が組まれ、本格的な出水期を前に、災害に対する備えを新たにした。
 このうち東日本台風を振り返った災害対応としては、夏井川が決壊・氾濫した平・平窪地区を対象に、平四小の校舎を使った垂直避難訓練を展開した。平四小は水害の際の避難場所ではないが、周辺が浸水し、命を守る行動を取るため、緊急一時避難として、校舎2、3階の多目的室に誘導する内容で組まれた。
 災害時応援協定事業者等との連携としては、土砂災害で江名地区の集落が孤立したとの設定で、国土交通省と佐川急便が一緒になり、トラックと船舶による物資輸送のあり方を確認した。こうした訓練は県内初。
 同社南東北支店とは、2021(令和3)年に協定を交わしている。いわき営業所の担当者が、市小名浜支所でアルファ米や飲料水など、支援物資が入った段ボールを受け取り、貨物車で小名浜港の漁港区まで運んだ。
 同港では、停泊している国交省小名浜港湾事務所の港湾業務艇「そうめい」(29t)に支援物資を移し替え、江名港まで届けた。同港では江名自主防災会、市消防団第2支団の関係者に渡され、避難する住民が待つ江名小に向かった。
 このほか障がい者を交えた避難行動や、情報技術(IT)を用いた避難所運営なども検証した。
 内田市長は「一連の訓練を基に、関連死も含めて、災害時の死者をゼロにし、どこの自治体にも負けない危機管理のモデル都市としたい」と強調する。また市民参加による防災力向上に関して、防災士と自主防災会を通じて、さらなる呼びかけをしたいとし、「(共助の担い手となる市独自の)登録防災士も200人を超えており、広く関心を持ってもらえるよう、引き続き啓発していきたい」と述べた。

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