市、いわき商工会議所、市医師会は26日、県教委に対して、いわき市に中高一貫校を設置するよう要望した。要望の背景には、4月に双葉郡浪江町に整備された「福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)」を踏まえ、海外から招へいされる研究者の子どもたちのためや、中長期的な医療人材の確保を目指して、高校生の医学部進学を増やす狙いがある。中高一貫校の設置は磐城高が想定されている。
内田市長、いわき商工会議所の根本克頼副会頭、市医師会の木村守和会長が同日、福島市の県庁を訪れ、県教委の大沼博文教育長に要望書を手渡した。
県内の中高一貫校を巡っては、安積(郡山市)に2025(令和7)年度、難関大学や医学部への進学に向けて、中学校が併設される予定となっている。公表された計画によると、東日本大震災・東京電力福島第一原発事故からの復興をけん引するため、理数科目や英語の教育を充実させる。
こうした動きから、いわき市でも経済界や医療界を含め、高い教育を提供する機会が必要と判断され、合同で要望活動を行うことを決めた。特に内田市長は「人づくり日本一」を掲げており、地域に貢献する人材育成が重要となっている。
また磐城高には昨年度から、医学コースが設けられ、医師になりたい生徒を対象に、集中的なフォローが施されている。要望では中高一貫校の設置まで、医学コースのさらなる充実に加え、海外の研究者の子どもたちを念頭に、英語による授業ができるコースも求めている。
要望活動は非公開だったが、大沼教育長は前向きな姿勢を示したという。市、いわき商工会議所、市医師会からの趣旨を理解した上で、中高一貫校が設置された会津学鳳(会津若松市)、ふたば未来学園(双葉郡広野町)の先行事例や、安積の取り組みを基に、「どのような学校が望ましいか考えたい」と語った。
県立学校に関しては、2028(令和10)年度まで、今後の方針をまとめた改革後期実施計画が展開されている。このため、仮にいわき市に中高一貫校が実現するのは、29年度以降とみられる。市は県教委との連携を密にしていく意向で、内田市長は「経済界や医療関係者も交えながら、地元の声を届け、より良い教育環境を作っていきたい」と話している。
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