うだるような猛暑が続くが、昔と違い空調機器が各家庭に普及しているため、躊躇なく涼を求めることができる。当時を振り返ると冷房施設のある場所は、大型商業施設ぐらいだった▼記憶では平街なかの大型2店に設置され、一歩店内に入ると震えるほどの冷気が感じられた。ちょうど50年前の昭和48(1973)年7月28日付本紙1面に「ダイナミックないわきの表玄関」の見出しで平ステーションビルのオープン前日の記事がある▼駅と商業テナントを融合した愛称「ヤン・ヤン」。そのスタイルは斬新で先の2店に加え、実家の目と鼻の先に完成した施設は新たな遊びのエリアになった。もちろん夏は涼しく、東京資本の書店で立ち読みにも精を出した▼月日は流れ、現在は隣地に「ラトブ」が建ち、駅自体も店舗の備えはあるが、ホテルをメインとした形態に様変わりした。商業圏が郊外に移る中、駅前のにぎわい創出が急がれる。気の利いたネーミングも必要。
片隅抄