秋の気配を感じたのも、数日のみ。再び容赦ない残暑が続く中、台風13号に伴う記録的豪雨から3週間が経つ。河川氾濫による浸水被害に見舞われた内郷地区も、以前の生活を取り戻すべく復旧作業が進んでいる▼厄介なことに一度家屋に入り込んだ泥水は簡単に除去はできない。特に被災地区の宮町、白水町などに何度か足を運んだが、各家の前には水をかぶった家財道具が積み上げられ、なすすべもない状態である▼白水町が実家だという年上の知人がいる。被害の話は避けられなかったが、かつての炭鉱隆盛時を懐かしそうに話してくれた。こちらが取材した家々の名前も合致したほか、かつて町内には青果店が4軒あったなどと幼少期の記憶は鮮明であった▼平穏な生活が一瞬にして崩れ去ることを、あの大震災で経験した。自然災害への備えは言うまでもないが、時として人災と呼ばれる被害が生じることもある。想定外などと都合のいい言葉は、聞きたくない。