吹奏楽の全国大会「第71回全日本吹奏楽コンクール」(全日本吹奏楽連盟などの主催)の高校の部が22日、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場センチュリーホールで開かれる。いわき市からは、いわき湯本高が現校名としては初出場(前身の湯本を含めると、2年ぶり15回目)を果たした。出演は前半15校のうち、2番目の午前9時15分を予定しており、本番に向けて最終調整を図っている。
いわき市は吹奏楽が盛んな街とされるが、少子化の影響は大きい。今年は30校中26校が、高校の部の上限である55人で挑むが、いわき湯本は42人にとどまり、全30校で最も少ない。しかし一人一人が丁寧に吹くことで、クリアなサウンドが生まれるため、人数の多寡は問題ないという。
本番では、課題曲「ポロネーズとアリア~吹奏楽のために~」(宮下秀樹作曲)と、自由曲「ピース、ピースと鳥たちは歌う」(伊藤康英作曲)を披露する。
課題曲は優雅な世界観が広がる楽曲で、聴く人をひきつける内容となっている。自由曲はスペイン出身のチェロ奏者・パブロ・カザルスが、国連総会でカタルーニャの民謡「鳥たちの歌」をひいた史実を基に、多彩な楽器が交錯することによって、平和に対する祈りや戦争の愚かさが表現されており、最後はいわき湯本が得意とする圧巻のサウンドで幕を閉じる。
部長の上遠野尚也さん(3年)=チューバ=は「金賞を取る目標を掲げているが、一番はお世話になった方に対し、感謝の気持ちを込めた演奏をすること」と強調する。前身に当たる湯本が、2008(平成20)年に金賞を取って以来、15年ぶりの快挙を目指すが気負いはない。
本番まで残り少ない中で、音楽的な高みを追求している。「これでいいとは思わないように」と仲間たちにははっぱをかけてきた。
指揮をする小山田浩教諭も「いい音楽にチャレンジすることには変わりはない」と語る。大舞台を前に緊張感に包まれる部員たちだが、時にユーモアを交えながら、平常心を保つよう声をかけている。
2番までの出演校は、チューニング室に入る前に、舞台上で10分間のリハーサルができる。「ここではとにかく音を出そう。音程よりも舞台で吹くことを大事に」とも呼びかける。与えられた条件を存分に活用し、生徒たちを後押しする。
名古屋の地に、新たな「いわき湯高サウンド」が響き渡る。
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