先日、ある会合の席で知り合いの女性が「小林研一郎さんのコンサートに行くのよ。楽しみにしている」と話していた。来年1月13日、アリオスで開かれる小林さん指揮「プラハ交響楽団~スメタナ「わが祖国」全曲~」のことだ▼いわき市が生んだ「炎のマエストロ」の業績はいうまでもないが、02年「プラハの春国際音楽祭」オープニングコンサートで東洋人初として、同曲指揮を務めたことは有名である。日本人にもおなじみの旋律で古い東欧の景色が想像できる▼実のところ、この名曲を生で聴く機会があった。13日、同所で開かれた「ボクとわたしとオーケストラ」の取材時でのこと。震災翌年から東京都交響楽団が音楽を通じ、被災した子どもたちの支援に行っている事業である▼革命、内乱、分離、旧ソ連による軍事侵攻など荒波にのまれ続けたチェコ。いまだ停戦の兆しが見えない世界情勢を考え合わせながら、一線級の演奏にしみじみと聴き入った。