正直、抄子自身も長らく認識が甘かった。上の世代からの受け売りとはいえいま思えば、とんでもない性差的な表現を使っていた。当該者からすると心が削られるような連続だったろう。猛省しかない▼2001(平成13)年に放映された伝説的なドラマ「3年B組金八先生」の第6シーズン。主人公の〝少女〟は女子の制服を着ることを嫌がり、男子の制服を身にまとう。体と心のかい離について葛藤する、上戸彩さんの熱演が印象的だった。性同一性障害という言葉を初めて知った人も多いのではないか▼多様性を認める意識が浸透してきたことを受け、スカート以外の制服を自由に選択できる高校が増えてきた。流れを受け、磐崎中は今春、ジェンダーレスに配慮した制服を導入することを決めた。本市の公立中では初の取り組みという▼正直「ようやく」といった印象は強いが、先鞭をつけた決断は称えるべきだ。これを機に本市でも整備が加速することを望みたい。
片隅抄