休場は目前、勝敗よりも体の故障を心配される横綱。カド番続きで、勝ったことが見出しになる大関▼ピリッとしない上位陣にあって大相撲春場所で6日目まで全勝なのが新入幕の尊富士(24)と入幕2場所目の大の里(23)だ▼アマ横綱&学生横綱だった大の里は幕下10枚目付出で初土俵を踏んでからわずか6場所目で前頭5枚目。勝負を決めてから十分に腰を下ろす盤石の詰め、懸賞金を受け取るきれいな手刀、インタビューの丁寧な受け答え。外国人力士や成り上がりの大学相撲出身者が幅を利かす今の角界では珍しく美しい所作の力士だ▼太宰治と同じ青森県は旧金木町出身の尊富士。大学相撲出身ながら目立った個人優勝がないため序ノ口からのスタートだったが、5階級をわずか史上1位タイの8場所56勝8敗(十両1場所)で入幕した。ケガに気をつけて、かつての遠藤や最近の伯桜鵬のように尻切れトンボにならないように。今場所、一気に優勝してほしい!
片隅抄