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いわき震災伝承みらい館 企画展「地震災害と日本」開催中 過去の地震ひも解く
薄磯三丁目のいわき震災伝承みらい館は、企画展「地震災害と日本」を開催している。同館では東日本大震災の経験を踏まえ、防災意識の醸成を図っており、いわき地方を含む過去の地震をひも解いた。7月31日まで。
企画展では25枚のパネルが飾られ、869年の貞観三陸地震や1923年の関東大震災、1960年のチリ地震などに焦点を当て、被害の状況について解説しているほか、将来想定される日本海溝・千島海溝型地震や南海トラフ地震に関しても提起している。
このうち貞観三陸地震は、三陸沖を震源とするマグニチュード8・4の規模と推定され、最大10㍍の津波に見舞われたとされる。同沖では千年に1度の間隔で同様の地震があると推測され、東日本大震災との関連も指摘されており、展示では「雷のような海鳴りが聞こえて潮が沸き上がり、川をさかのぼり、たちまち城下に達した」とする記録を伝えている。
チリ地震を巡っては、当日の本紙報道と合わせて紹介。「史上最大の津波襲う 九面港の護岸74㍍が決壊」の見出しとともに、いわき地方の沿岸部に13回にわたって津波が襲来した記事や、小名浜港で貨物船が岸壁に激突したり、勿来・九面港の荷揚げ場が壊れたりした姿の写真を通して、より当時の様子が分かるようになっている。
同館によると、2011~2020年までの10年間で、世界で発生したM6・0以上の地震のうち、約2割が日本周辺となっている。
また正月には能登半島地震、3日には台湾でも大規模な地震が発生しており、いつ再び大災害に見舞われるかは分からず、同館の担当者は「企画展を観賞することで、東日本大震災に限らずさまざまな地震に触れることで、一人ひとりが考える機会になればうれしい」と話している。
入館無料。午前9時から午後5時まで(最終入館は同4時半)。毎週月曜日休館(祝日の場合は翌平日)。
期間中の5月25日には、東北大災害科学国際研究所の柴山明寛准教授による特別講演を予定する。地震工学や災害アーカイブを専門とする柴山氏が「東北地方を襲ったこれまでの地震と今後予測される大災害」をテーマに語る。定員40人。申し込み不要。時間は午後3時から4時。
(写真:企画展への来場を呼び掛ける担当者)