日本各地を旅行することに夢中だった20代のある時、たまには水平ではなく垂直の旅をしてみようと磐梯山や安達太良山を皮切りに、少し足を延ばして北アルプスの上高地から西穂高岳を目指したりした▼きょう５月１１日は、日本人が初めて世界最高峰のエべレスト（チョモランマ）山頂に立った日だ。今から５４年前、昭和４５年のことだった▼日本山岳会が威信をかけた挑戦。この日本人は北極圏犬ぞり横断などで知られる世界的冒険家植村直己さんと登山家の松浦輝夫さん。登頂直前までトップにいた植村さんが、最後は７歳年上の松浦さんにトップを譲ったというエピソードがある▼三春町出身の田部井淳子さんが女性として世界で初めてエベレスト登頂を果たしたのはそれから５年後のことだった。平成２５年には三浦雄一郎さんが８０歳の世界最高齢で登頂している。未知なる神々の頂きも、今では登山用具の進化などで入山者が増加し、同時にごみなど問題が山積中だ。
