今週末、西田敏行主演の映画『星守る犬』が全国公開となる。昨年9月には永崎海岸など、市内ロケが実施され話題となった作品だ。自身もそれに合わせ、村上たかしの漫画原作を手に取り、海岸でのロケを遠巻きながら見ていた▼しかし今、津波被害でロケが繰り広げられたいわき自慢の海岸付近は、その面影をたどることも難しい。ロケのあったすぐそばの堤防は決壊、打ち寄せる波の間にその残骸が見え隠れしているありさまだ▼またその海岸線は、震災のほんのひと月前には、第2回サンシャインマラソンで、数千人のランナーが走り、地区民がこぞって小旗を振り応援した沿道でもある。しかし今、その風景もまた、遠い昔のことに感じられる▼でも私たちは、いわきの海を愛する地区民は、思うのである。ここには、映画の舞台にもなるほどの誇れる風景があったのだと。それがスクリーンの中に残り、全国の映画館に流れることが1つの支えになると信じたい。