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古代ハスの再生目指して 内郷の子どもたち育てた苗 国宝白水阿弥陀堂に定植
市は8日、内郷白水町の国宝白水阿弥陀堂で、地元の小学生と一緒に古代ハス(大賀ハス)の再生に向け、苗の定植作業を行った。
白水阿弥陀堂は県内唯一の国宝建造物で、国指定史跡の浄土式庭園では夏になると、約2千年前の実から発芽した古代ハスが咲き誇り、参拝客を楽しませていた。しかしここ数年はカメやイノシシによる食害と、昨年9月の台風13号に関連した記録的豪雨による浸水被害で減少しており、内郷地区の子どもたちと連携して再生する取り組みを進めてきた。
きっかけは2022(令和4)年4月、高坂小の女子児童2人が市に提言書を出したことにある。同校では毎年、白水阿弥陀堂に遠足に行っており、古代ハスの種子をもらい受けたところ、学校の池で発芽に成功した。
これを古代ハスの再生につなげることで、元の庭園の姿を取り戻せないかと市に呼びかけると、福島高専や地元関係者の賛同を得て活動が広がり、昨年4月からは内町、宮、高野、高坂、綴の内郷地区5小学校で栽培が始まった。
定植作業には5校に加え、市、福島高専、内郷まちづくり市民会議、白水阿弥陀堂境域を守る会から約150人が参加した。児童は長靴で池の中に入ると、古代ハスの苗をプランターから丁寧に移していった。
白水阿弥陀堂は昨年9月の豪雨で新川が氾濫し、境内一帯が水没。本堂は約20cmの床上浸水の被害に遭ったほか、浄土式庭園にも土砂が流れ込んだ。復旧作業によって拝観は同10月から再開し、浄土式庭園も今月2日から利用できるようになった。市では今後、古代ハスを観光誘客につなていく考えだ。
橋本蓮夢さん(内町・4年)は慎重に苗を植えた後、「みんなで一生懸命世話をしてきた苗を移すことができてうれしい。立派に育ってほしい」と笑顔を見せた。
(写真:浄土式庭園で行われた定植作業)