著 者:藤崎 翔
出版社:祥伝社
価 格:792円(税込み)
現代に蘇った呪いの人形でも人々は次々と幸せに
かつて戦国武将たちを呪い殺し、滅亡させた呪いの日本人形「お梅」。とある古民家の解体中に発見され、約500年の時を経て令和の時代に解き放たれます。
再び人を呪い殺そうとあれやこれやと奮闘しますが、現代の日本人には効かず、何故か呪い殺そうとした人々が皆、幸せになっていってしまいます。
日本人形といえば、可愛らしいというより不気味、怖いといったイメージが強いのではないでしょうか。お梅もその一つだったはずなのに、時代の変化に必死になってついて行こうとする彼女の姿はとても健気で、想像するだけで可愛く見えてきます。
昔の人と現代人が抱く感情の違いを目の当たりにし、ツッコむ姿はまるでお梅の一人コントを見ているかのようでクスッと笑えてきます。また、物語が進むにつれて登場人物たちの伏線が回収されていく展開は読んでいて清々しい気持ちを味わえます。
読めば読むほどお梅のことを応援したくなってしまう、笑って泣けて元気をもらえる一冊です。
(ヤマニ書房本店勤務)
※紹介する人:猪狩千晶さん