作家開高健が紹介した中国の古いことわざに「一日幸せになりたければ酒を飲みなさい」「三日幸せになりたければ結婚しなさい」というのがある▼その最後は「一生幸せになりたければ釣りを覚えなさい」。当てはめてみると、酒はほぼ毎日飲むが、釣りにいたっては全くの不調法。子供のころフナ釣りぐらいはしたものの、不器用な自分にかかる魚はなく「一生の楽しみ」にはならなかった▼生前の開高は精力的に世界を飛び回り、大魚や怪魚を釣り上げたことをまとめた紀行本『オーパ!』を発表した。環境保護にも理解を示し、釣った魚をすぐに放す〝キャッチ・アンド・リリース〟も彼の提唱といわれている▼12日は、鮫川のアユ解禁日。原発事故の影響で県内の淡水魚から放射性セシウムが検出され、鮫川漁協関係者を苦慮させた。その後の調査で基準値を下回ったことから、解禁を決めた。当日は大勢の釣り人が訪れることを関係者は願っているだろう。