店名のファロは、イタリア語で灯台を意味する。平の街を照らす存在ですかと水を向けると、店主の北林由布子さんは「ちょっと照れくさいですね」と笑ったのは、新型コロナが未知のウイルスと恐れられた２０２０年の４月。コロナ禍が明けた現在、まちづくりに向けた新たな拠点となっている▼２００４年に平字三町目で、イタリアンカフェダイニング「スタンツァ」をオープンした北林さん。震災・原発事故に際しては地元の生産者を盛り上げたほか、街中でマルシェイベントを開催するなど、精力的に活動している▼いまは歩道の有効活用が可能となる制度「歩行者利便増進道路（ほこみち）」の指定を目指し、官民の仲間と共に議論を重ねる。大切にするのは「平」という街のアイデンティティー▼北林さんの最終目標は、いわき駅前大通りを文字通り公園化すること。年代問わず誰もが集う空間が広がる。こうした熱意に行政もしっかり手当てしてほしい。
