見せましょう、野球の底力を――。東日本大震災後、仙台を本拠地とする東北楽天ゴールデンイーグルスの選手会長・嶋基宏さんは被災地を思い、ファンの前でこうスピーチした▼熱い言葉は多くの人々の心を揺さぶった。そのシーズンの栄冠はかなわなかったが、2年後、球団創設9年目にして初のリーグ制覇を果たしたばかりか、日本シリーズを制す奇跡の活躍をみせた。嶋さんが後に移籍した某球団ファンの抄子も、優勝の瞬間は感動のあまり涙があふれた▼個人的に今季ほど野球の底力を感じ続けた1年はなかった。身も心も苦しみ日々疲弊していく中、支えとなったのは大谷翔平選手の飛躍だった。寝起きとともに速報にかじりつき、一喜一憂しながら打席の行方を見守る。本塁打を打てば活力となり底力が出た▼F1で奮闘する角田裕毅選手の活躍もそう、スポーツには人を勇気付け、奮い立たせる力がある。いわきFCも市民を元気付ける存在となってほしい。