天皇が記した日記で最も古いものとされる「宇多天皇御記」。現在は散文が伝わるのみだが、猫好き〝界隈〟からすると「昔の猫ブログね」となるらしい▼宇多天皇といえば菅原道真を側近として重用、遣唐使を中止したことで知られるが、界隈では無類の猫好きとして認知され、日記には飼い猫の黒猫について、「たぐいまれな毛色をしていて愛らしい。他の猫は浅黒いが私の猫は墨のような漆黒。まるで韓蘆(中国・春秋戦国時代の韓にいた名犬)のようだ」とべた褒めする記述も▼権力者の象徴でもあった猫を飼うという習慣が庶民に広がったのは、江戸時代から。はじめはネズミ駆除のためだったが、次第に心を癒す存在に定着していき、歌川国芳らの浮世絵の題材となるまでに▼その浮世絵などの猫アートが12月8日まで、茨城の天心記念五浦美術館に飾られている。界隈の端くれにいる抄子も足を運び、楽しませていただいた。お目当ては、菱田春草の「黒猫」。