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四倉町の大和田さん夫妻 3年弱で100名城・続100名城制覇 病乗り越えて
文化遺産であり地域の歴史的シンボルでもある城郭、城跡への関心を高め、地域文化の振興に役立ててもらうため、公益社団法人日本城郭協会は2006(平成18)年2月に「日本100名城」を選定した。17年には「続日本100名城」が決まり、各城を巡るスタンプラリーが愛〝城〟家を中心に静かなブームとなるなか、わずか3年弱で200名城を制覇するという〝つわもの〟夫婦があらわれた。
四倉町の大和田均(63)、照美(55)さん夫妻。元公務員で、大病を患いひきごもりがちな均さんの健康のためにと、照美さんが手を引いて始めた小さな旅路は、24度も飛行機に乗る壮大な日本一周の旅に変わった。
実は城はもちろん、歴史にまったく興味がなかったんですよ。わっはっはっは――。均さんは豪快に笑い飛ばすが、58歳のときに職場で脳出血を発症。同僚が均さんの変化に気付いて幸い命を取り留めたが、わずかな言語障害が残た。
若いころは橋梁好きで各地を旅し、子どもが生まれてからは色々な場所をみせてあげたいとの親心から、休みになると家族旅行を重ねた。退職したら何をしようか、妻と夢を膨らませる中での大病。早期退職し、リハビリを兼ねた第二の人生を歩み始めた。
2人の姉の夫が百名山を踏破したのを間近にしてきたため、軽い気持ちで磐梯山に上ったところ、「上りで膝を痛めて。あ、これはダメだ」と〝一〟名山で無念のリタイア。そんななか、ふと家族で訪れた田村郡三春町で、運命的な出合いを果たす。
ランチを食べて気軽な気持ちで三春城跡(城山公園)を登ると、偶然見つけてしまった。「続日本100名城」のスタンプを。「1個押したら、100押さないと!」。行動力に長けた照美さんの提案で、城巡りの日々が始まった。
2021(令和3)年11月下旬に始まったスタンプラリーは、どちらも今年11月上旬に完了。日本城郭協会の認定証によると、全国の登城順位は100名城が6687番目、続100名城が1976番目。「本当に達成感があった」と照美さん。均さんは「第二の人生をどうしようか悩む方々におすすめしたい」と仲睦まじく、妻と一緒に笑顔を浮かべる。
次の目標は「科学館」巡りかな――。大和田さん夫妻の旅路は、まだまだ続く。
(写真:全登城した大和田さん夫妻)