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遠野和紙400年の歴史 史料から裏付け図られる 勿来関文学歴史館で企画展
遠野地区で連綿と続く伝統の手漉(す)き和紙「遠野和紙」の歴史や製造方法、後世に伝えるための住民たちの取り組みに焦点を当てた、勿来関文学歴史館の企画展「遠野和紙~受け継がれる伝統~」が来年1月18日まで、同館で開催されている。
遠野和紙の発祥については文献などの一次資料が乏しく、史料的には江戸時代の享保年間(1716~36年)以降とされていたが、企画展では80年以上さかのぼり「内藤家文書」(明治大博物館蔵)に遠野和紙の記述があることが判明。地区で長らく信じられてきた「400年の伝統を誇る」との口伝を裏付ける結果となった。
今展では、紙の成り立ちや和紙の誕生の歴史を日本書紀などの文献をもとにひも解きながら、遠野地区の変遷などを紹介している。
特筆すべきは、学芸員の渡辺千香さんが企画展を準備するにあたり、遠野和紙の歴史を調べるなかで確認した旧磐城平藩主・内藤家に伝わる内藤家文書の「案詞」=1642(寛永19)年=にあった一文。
国元から江戸藩邸に届ける物資のなかに「一上遠野厚紙百状」「一上遠野状書三百九十束」との記述があることが分かり、遠野和紙の生産年代が、初出となった1729(享保14)年の史料「太平村差出帖」から80年以上短縮されることが証明された。
開館時間は午前9時~午後5時。休館日は第3水曜日(祝日の場合はその翌平日)と元日。問い合わせは同館=電話(65)6166=まで。
(写真:解説する学芸員の渡辺さん)