いわきに縁のある広島・府中市の男性から届いたメール。戦時中『東洋一の軍港』と称された呉市の祖母が、いわき出身の兵隊さんを実家でもてなした。その名は伊藤さん。ご家族を探せないか▼掲載から１０日が経っても手掛かりとなる情報はなく落胆していたとき、読者の８０代女性から電話があった。名前は当然、伊藤さん。「義父の弟、三男の叔父が海軍だった」▼喜び勇んで、お宅を訪問した。「亡くなった夫がその辺に詳しかったんだけど」と申し訳なさそうに語ってくれたが、戦時中の叔父を描写した書籍や晩年の写真を拝見させていただいた。潜水艦乗りではなかったが、海防鑑の通信士をなされて南方戦線に出征されている▼乗っていた艦は違えど、遠くはない。もてなした男性の祖母は一般市民であることを考えると、本来の軍属を隠したやもしれない。『伊藤さん』のご子息が関東に住まわれていると聞いた。戦後８０年の人探しはまだ始まったばかりだ。
