6月も下旬に入って中・高校生を中心にスポーツ熱が高まってきた。復旧から復興へ緒についたばかりだが、被災した選手たちが勝利を目指して全力プレーする姿は明るい材料だ▼全国高校野球選手権福島大会の組み合わせが決まった。この大会は単に高校生のスポーツにとどまらず、今や郷土色あふれる真夏の一大イベントになっている。とりわけ今年は、ざまざまな困難を乗り越えてグラウンドに立つ選手たちに注目が集まることだろう▼抽選会のあいさつで、県高野連の岩渕賢美会長が「君たちはまだ未熟だ。しかし、プレーの優劣を超えて全力を尽くす姿に人々は魂を揺り動かされる」と言っていた。まさにその通りだろう▼3月11日からの絶望の淵に追いやられた日々を思えば、今また、夢に向かって挑戦できるチャンスを手にできたのは幸せなことだとかみしめよう。当たり前のことが当たり前でなくなった日々を経験した選手たちの全力プレーを見せてほしい。