「わたしも、オトン(父)に殴られたもんね」。巨人軍・阿部監督の事件を報じるニュース番組を見ながら娘がつぶやく▼娘がまだ小学校に入る前のこと。買い物で訪れたスーパーで駄々をこねたことに堪忍袋の緒が切れてしまい、幼い頭を平手でひっぱたいてしまった。30年以上も前のこと。なぜそんなばかなまねをしてしまったか思い出せない▼しかし、驚きと恐怖で泣くことすらできなかった娘のおびえた顔と『パーン!』という平手打ちの音だけは覚えている。娘のつぶやきを聞いてそのときのことを思い出し、胸が痛くなった。原因は娘の駄々だけではなかったと思う。仕事か家事・育児かでイライラが募り、精神が不安定だったような気がする▼阿部さんがそのときどんな心情であったか知る由もないが、ニュースを見ながら他人事とは思えなかった。わが家の場合では、少なくとも娘の幼い心を傷つけ、嫌な思いを今に引きずらせている。それだけで十分な罪だ。