阪神甲子園球場の「アルプス席(アルプススタンド)」。1929(昭和4)年、予想を上回る野球人気を受け、20段の木造から50段の鉄筋コンクリート製に改築された▼アルプススタンドと呼ばれた由来には諸説あるが、大阪朝日新聞で漫画を連載していた岡本一平氏(芸術家・岡本太郎氏の父)が、白いシャツを着た観客で埋まる光景からアルプス山脈を思い浮かべ、「素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ニハ萬年雪ガアリサウダ」と表現したという▼高校時代に吹奏楽部の末席を汚していた身として、アルプススタンドで楽器を吹くのは憧れだった。だからか、東日大昌平の部員がうらやましかった。たった6人ということで、県内外から参加者を募って「1日限りのブラスバンド」が結成された▼部員の一人は「自分たちの演奏で選手たちを後押ししたい」と目を輝かせていた。心強い応援と、華麗なフラの踊りとともに、力強い演奏が間違いなく聖地に響いていた。