東京電力福島第一原子力発電所事故で、野田佳彦首相は16日に記者会見し、事故収束の工程表にある「ステップ2」の完了を宣言した。野田首相は、原子炉が冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと確認されたなどと説明した▼「収束」。広辞苑によると「①おさまりをつけること。おさまりがつくこと。数列が、ある一つの有限確定の値にいくらでも近づくこと」などとある。会見での様子を見ていると、何か原発事故そのものが「収束」したかのような印象を受けた▼今回は、工程表で設定した第2段階が完了しただけであって、あくまで〝事故収束に向けた〟過程の1つが終わっただけのこと。作業が進んでいることを印象づけたかったのかもしれないが、少し軽率だった気がする▼閣僚が失言などで辞任する例も、ままある。原稿を書くという職業柄、話し言葉であれ、書き言葉であれ、「言葉遣い」には十分気をつける必要があるとあらためて思った。