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片隅抄

2012.10.13

市民の憩いの場として親しまれてきた松ケ岡公園にある遊戯施設が撤去される。東日本大震災で損壊し、安全な乗り物にするためきちんと修復し直すとなると、多額の費用がかかるのだという▼自分の最も古い写真は2、3歳ごろ、この公園にあった飛行塔に乗っている1枚。今から半世紀も前の話だが、昔はティーカップや観覧車もあった。豆汽車の先頭にサルの運転士がいた記憶があるが、どうだろう。小さな動物園も楽しみの1つだった▼父親となって初めて幼い娘を連れて来たときは、感慨深いものがあった。あの日の自分と同じ笑顔を娘も見せてくれた。最新のスリル満点の遊園地とは違う、昔ながらのホッとする場所であったのだ。年老いた遊具たちに、楽しい思い出をありがとうと言いたい▼11月4日には「さよならイベント」が開かれ、豆汽車の前での撮影会や思い出写真展が行われる。娘が長じてから足は遠のいたが、親子で遊具たちの最期を見届けたい。

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