郷土の生んだ製薬王星一の顕彰記念碑建立から除幕式まで、一連の取材を通して感じたことは当時の明治人が抱いた「青雲の志」だった。単身渡米後、コロンビア大で学び、事業を興す。まさに裸一貫で切り開いた人生である▼いくつかの年譜を読むと大正7年、南米ペルーに広大な土地を購入し、日本人移植地の開発を計画していたとある。先日の除幕式では、そのペルー産豆を使用した「星ハジメブレンドコーヒー」が出席者に贈られた▼この商品には、好間町出身で昭和30年に一家でブラジルに渡った下坂匡さんが、苦心の末に栽培に成功した「カルモシモサカ」がブレンドされている。時代は異なるが錦町生まれの星と磐城農業高を卒業した下坂さん。地区的には非常に近い▼除幕式では星製薬「ホシ胃腸薬」もプレゼントされた。医薬品と嗜好品。どちらもわれわれの生活には欠かせない。「志」を失いつつある現代人だが、2人の生き方から得るものは大きい。
片隅抄