涙もいろいろだ。悲しみの涙があり、うれし涙、悔し涙があり、感情が移入してのもらい泣きの涙もある▼取材のため、夏の高校野球福島大会の会場に足を運んでいる。ちまたでは、連日30度をはるかに超える気温で、家の中にいる人でさえ熱中症の患者が出る騒ぎなのに、それ以上の暑さであろうグラウンドでプレーする球児たちの体力たるや、まるで超人だ▼しかし、その頑健な球児たちも、試合が終わるとさまざまな涙を見せる。ふだん他人の泣き顔を見ることなど滅多にないが、勝敗が決したあとの球場では、冒頭のような涙が交錯する。心は純情な10代の少年たちなのだ▼サヨナラ、大逆転、延長、痛恨の失策など、高校野球は涙をかきたてるドラマに事欠かない。涙は、いつもの練習で厳しく選手を指導する監督もそうだ。試合の直後、話を聞きにいくと目を真っ赤にしていることがある。そんな涙もいいものだ。決勝まで、どんなドラマが展開されるだろうか。