各候補者が「最後のお願い」に声を枯らしていた2日前、机周りを整理中に出てきたのは、2年前に市内の「星一プロジェクト実行委員会」が発行した冊子。「いわきが生んだ製薬王星一」の題で、その生涯がまとめられていた▼星は明治6年、菊多郡江栗村生まれ、戦前の大手製薬会社星製薬、そして星薬科大の祖だ。SF作家星新一がその長男であることも知られている▼また、清潔な選挙戦を展開した政治家としても長く活躍した。当落を繰り返す中、昭和22年の第1回参院選では全国区で48万票の最多得票で当選している。その人生を貫いたのは「親切第一」の信念。長男の本名「親一」も、これに即して付けられたという▼星は、人のみならず物、時間、仕事、学問すべてに「親切なれ」と説き、それにより世の中が融和し繁栄・向上が訪れるとした。当選者が確定した今、次の6年を担う121人へ、国会の先達が唱えた「親切第一」をエールとして送りたい気分だ。